『「主体性」はなぜ伝わらないのか』を読んで考えたこと|自分の頭で考えられない本当の理由と仕事が面白くなる瞬間
この記事は、武藤浩子氏の著書『「主体性」はなぜ伝わらないのか』を読んで、自分なりに「主体性とは何か」を考え直すための備忘録です。
同書は、学生や若手社員と企業やマネジメント層の間にある「主体性」に関する認識のズレをテーマとする本です。
「主体性」という曖昧で便利な言葉に込められた意味を解き明かす手助けをしてくれる点が魅力です。
私自身、これまで仕事を通じて「主体性」とは何かをかなり自分なりに考えてきました。
その結果、「主体性とは自分の頭で考えること」であり、もう少し具体的に言えば、「自分の意見を持ち、筋道の通った自分なりの説明ができること」だと考えています。
「○○さんがこう言ったから」
「上司にそう言われたから」
「資料にそう書いてあったから」
これだけでは、主体的とは言えません。
もちろん、上司の意見を踏まえることも、会社の方針に従うことも、資料やデータを根拠にすることも大切です。
ただし、そこに自分の解釈、自分の判断、自分なりの理由がなければ、仕事としては弱い。
この記事では、『「主体性」はなぜ伝わらないのか』における問題提起を踏まえながら、以下を実体験ベースで整理していきます。
- なぜ主体性という言葉は伝わりにくいのか
- 自分にとって主体性とは何なのか
- なぜ現代のビジネスパーソンに主体性が求められるのか
- 主体性はどうすれば身につくのか
- 主体性を持つと仕事はなぜ面白くなるのか
主体性とは何か|まずは「自分の頭で考えること」である
私がまず考える主体性とは、「自分の頭で考えること」、これに尽きます。
これは、単に積極的に動くことではありません。
よく主体性というと、以下のような行動を思い浮かべがちです。
- 自分から手を挙げる
- 発言する
- 前に出る
- 指示される前に動く
- 積極的に提案する
もちろん、それらも主体性の一部ではあります。
しかし、それだけでは不十分です。
本当に重要なのは、その行動の前に自分なりに考えているかどうかです。
たとえば、会議で発言するにしても、自分なりの考えが伴わないなら、それは主体性があるとは言えません。
- なんとなく思いつきを言っているだけ
- 誰かの意見をそのまま言っているだけ
- 上司の発言をなぞっているだけ
逆に、発言量は多くなくても、自分の考えや仮説があれば、主体性がある状態に近いと言えます。
- 自分なりに論点を整理している
- なぜそう考えるのか説明できる
- 反論されたときに、自分の考えの前提を話せる
- 必要に応じて考えを修正できる
つまり、主体性とは「声の大きさ」ではありません。
自分の意見に、自分なりの根拠と責任を持つことです。

「○○さんが言ったから」では通じない
仕事をしていると、よく以下のような説明に遭遇します。
「○○さんがそう言っていました」
「上司からそう聞きました」
「前回そういう話になっていました」
「過去資料にそう書いてありました」
もちろん、情報源を示すことは大事です。
しかし、それだけで説明が終わってしまうと、本当の意味で仕事をしているとは言えません。
なぜなら、そこには自分の判断がなく、つまり新たな示唆と価値がないからです。
本当に必要なのは、以下のレベルまで持っていく意識です。
- ○○さんがそう言っていた
- その背景はこうだと思う
- 今回の状況に当てはめると、こう解釈できる
- だから自分はこう進めるべきだと考える
上司や会社の上層部に、常に明確で絶対的な答えがあるわけではありません。
むしろ仕事においては、誰も完全な正解を持っていないことのほうが多いです。
だからこそ、現場で働く人間が自分の意見を持ち、議論し、より良い方向に持っていく必要があります。
その場で自分の意見を持てない人間は、価値を出すことはできません。
厳しい現実ですが、それを踏まえて自分なりに考える習慣を徹底することが重要です。

ただし、主体性の定義は会社や仕事によって変わる
一方で、本書を読んで改めて感じたのは、主体性という言葉の意味はかなり曖昧であるということです。
なぜなら、主体性という言葉は、誰もが使うわりに、何を意味しているかが人によって異なるからです。
ある会社では、主体性とは「自分で考えて提案すること」かもしれません。
一方、別の会社では「言われる前に動くこと」かもしれません。
また別の職場では、「周囲と協調しながら、チームの成果に貢献すること」かもしれません。
実際、主体性には「自律的に考え、発信する」という要素が含まれることもしばしばある一方で、仕事によっては、勝手に判断して動くことよりも、決められた手順を正確に守ることのほうが重要な場合もあります。
工場勤務、オペレーション業務、非正規雇用の現場、品質や安全が最優先される仕事では、
「言われたことを確実にこなす」ことが大きな価値になります。
その場で勝手に判断して動くことが、むしろリスクになる場合もあります。
そう考えると、私が考える主体性、つまり「自分の頭で考え自走すること」という定義は、かなりコンサルナイズドされたものだとも言えます。
コンサルや企画、DX推進、プロジェクト型の仕事では、この主体性は極めて重要です。
しかし、それがすべての仕事における絶対的な正解とは限りません。
私にとっての主体性は「プロジェクトを自分で回せるか」である
それでも、自分の経験を踏まえて言うなら、私にとっての主体性は結局、「仕事を自分で回せるかどうか」です。
もう少し分解すると、以下のような要素に分けることができます。
- 目的を理解する
- 論点を整理する
- 次にやるべきことを考える
- 必要な人を巻き込む
- リスクを先に潰す
- 手戻りが起きないように段取りする
- 自分の意見を持って議論する
- 最後まで前に進める
つまり、主体性とは「やる気がある」ことではありません。
「積極的に発言する」ことでもありません。
自分の担当範囲を、単なる作業としてではなく、目的に向かって前に進める対象として引き取れることです。
仕事をしていると、指示を待っているだけでは前に進まない場面が必ずあります。
- 誰に確認すべきか分からない
- 何が論点か曖昧
- 上司も答えを持っていない
- 顧客の要望がぼんやりしている
- 関係者の意見が割れている
- 期限だけが迫っている
こういうときに、「どうすればいいですか?」という丸投げの問いで止まるのか。
それとも、「現時点ではAとBが論点で、私はAを優先すべきだと思っています。理由はこうです。確認したいのはここです」というところまで踏み込んで言えるのか。
この差が、主体性の差だと考えています。

頭を使う仕事とは何か
では、「自分の頭で考える」とは具体的に何なのでしょうか。
これも意外と難しい問いです。
「もっと頭を使え」
「考えが浅い」
「自分で考えて」
こういう言葉は職場でよく使われます。
しかし、言われた側からすると、何をどう考えればいいのか分からないことも多い。
個人的には、頭を使う仕事とは、「最終目的をブラさず、やるべきことを設定し前に進めるもの」です。
- やるべきことは何か
- どういった手段を取るか
- このまま進めるとどこで詰まりそうか
- 誰の合意がないと後で止まるか
- どの前提が崩れると手戻りになるか
- 顧客や上司は何を気にしそうか
- 過去に似た失敗はなかったか
- 今確認しておくべきことは何か
こうしたことを常に考える。
ただし、この「頭の使い方」は、必ずしも純粋な論理だけでできているわけではありません。
むしろ、かなりの部分は経験から来る勘です。
過去の失敗と似たパターンを察知する。
以前手戻りになった場面を思い出す。
この人はここを気にしそうだと予測する。
この論点は後で揉めそうだと感じる。
こういうものは、経験則から生まれます。
つまり、頭を使うとは、単にロジックを組み立てることではなく、経験から得た違和感や勘を使って未来の手戻りを減らし、より良い結果を手繰り寄せることでもあると思います。
主体性が求められるのは、時代の要請でもある
現代のビジネスパーソンに主体性が求められるのは、個人の気合いの問題だけではありません。
それは、時代の要請でもあります。
昔に比べて、今の仕事は不確実性が高くなっています。
- 絶対的な正解がない
- 短期間で市場が変わる
- 顧客ニーズが変わる
- 技術が移り変わる
- 会社の上層部も答えを持っていない
- 過去の成功体験がそのまま通用しない
こういう環境では、上から明確な指示が降りてくるのを待っているだけでは手遅れになります。
上司や経営層も、常に正しい答えを持っているわけではない。
だからこそ、現場から意見を出し、議論し、より良い方向を探る必要があります。
この背景があるから、企業は若手を含むビジネスパーソンに主体性を求める流れは益々加速しています。
ただし、ここで難しいのは、企業側が求める主体性をきちんと言語化できていないことです。
「主体性を持て」
「もっと自分で考えろ」
「当事者意識が足りない」
こう言うだけでは伝わりません。
- どこまで自分で判断してよいのか
- どのタイミングで相談すべきか
- 何を持って主体的と評価するのか
- 発言なのか、提案なのか、実行なのか
- 個人で動くことなのか、チームを前に進めることなのか
これらを具体的にを説明しなければ、すれ違いは続きます。
『「主体性」はなぜ伝わらないのか』が扱っている問題の核は、まさにこの点にあります。
主体性は、必要な場に放り込まれて覚醒することがある
主体性は、座学だけで身につくものではありません。
本を読んだり、研修を受けたり、主体性の重要性を理解したりすることには意味があります。
しかし、本当の意味で主体性が身につくのは、主体的に動かざるを得ない場に放り込まれたときです。
私自身が正にこのパターンでした。
最初から主体的に動けたわけではありません。
むしろ、最初は自信もなく、指示を待ち、失敗を恐れ、何をすればいいのか分からないことも多くありました。
しかし、仕事を進める中で、「これは自分がやるべきことだ」と感じる場面に何度も出会いました。
誰かが明確な答えをくれるわけではない。
上司も忙しい。
顧客も曖昧なことを言う。
関係者はそれぞれ別のことを考えている。
でも、プロジェクトは進めなければならない。
そういう場に置かれると、嫌でも考えるようになります。
- 何を確認すべきか
- 誰に話すべきか
- どこが論点か
- どうすれば進むか
- 何を先に潰すべきか
最初は確かに苦しいです。
霧の中を手探りで進むような感覚の中で、「主体的に動く仕事は面白い」ということに気が付きました。
これは、私のキャリアと人生全体を通しても、かなり大きな発見でした。

主体性を持つと、仕事は面白くなる
仕事がつまらないと感じる理由の一つは、自分で仕事を動かしている感覚がないことにあります。
言われたことをやるだけ。
振られた作業を処理するだけ。
自分の意見は求められない。
自分で決められる余地がない。
この状態では、仕事は面白くなくて当然です。
一方で、自分なりに考え、自分なりに動き、仕事が前に進む感覚を持てると、仕事は少しずつ面白くなります。
もちろん、その全てが楽しいわけではありません。
面倒な調整もあります。
しんどい局面もあります。
責任も重くなります。
それでも、「自分が動いたから前に進んだ」「自分の考えが形になった」「自分の判断が成果につながった」という感覚は、仕事の面白さに直結します。
主体性とは、ただ会社に求められる資質ではありません。
自分自身が仕事と人生を面白くするための鍵でもあります。

主体性を持つために必要な2つのこと
では、主体性を持つためには何が必要なのでしょうか。
私が現時点で考える要素は、大きく2つ存在します。
1. 自分は何をすれば仕事が面白いのかに気づくこと
まず、自分がどんなときに仕事を面白いと感じるのかを知ることです。
言葉にしてしまえば当然ですが、これはかなり重要です。
私の場合は、構造を理解し、論点を整理し、物事を前に進めることに面白さを感じます。
曖昧な状況を整理する。
人の話を聞いて、問題を言語化する。
バラバラの情報をつなげる。
プロジェクトの詰まりどころを見つける。
関係者を巻き込みながら前に進める。
こういうことに面白さを感じます。
だから、そこに自分の主体性を置くことができる。
仕事の面白さは人によって異なります。
- 人と関係を作るのが面白い人
- 数字を分析するのが面白い人
- 技術で解決するのが面白い人
- 現場を改善するのが面白い人
- 企画を考えるのが面白い人
- 人を育てるのが面白い人
自分は何に面白さを感じるのか。
ここが分からないと主体性を持つことは難しく、キャリアと人生の軸も見えてきません。
なぜなら、主体性は「やらされ感」と相性が悪いからです。

2. 自分の仕事には裁量権があると認識すること
もう一つは、自分の仕事には裁量権があると認識することです。
多くの人は、自分の仕事には裁量がないと思っています。
- 上司に決められている
- 会社の方針だから仕方ない
- 顧客に言われたからやるしかない
- 自分は若手だから決められない
- 担当者だから動ける範囲は限られている
確かに、完全な自由はありません。
会社員である以上、制約はあります。
でも、その中にも考える余地と裁量は存在します。
- どう整理するか
- どう伝えるか
- どこまで準備するか
- 誰に相談するか
- どの順番で進めるか
- どんな仮説を持つか
- どこでリスクを潰すか
主体性がある人は、この小さな裁量を見つけるのがうまい。
主体性がない人は、裁量がない理由を探してしまう。
これはかなり大きな違いであり、この些細な差が仕事に対するスタンスを決め、結果として成果に大きな差が付きます。
社会に合わせすぎると、自分がなくなる
現代社会では、様々な要素や資質が求められます。
就職で求められる要素
- コミュニケーション能力
- 主体性
- 協調性
- 論理的思考力
- リーダーシップ
- ストレス耐性
- 成長意欲
受験で求められる要素
- 学力
- 継続力
- 情報処理力
- 要領の良さ
仕事で求められる要素
- 成果
- スピード
- 品質
- 調整力
- 提案力
- 責任感
人は無意識のうちに求められるものに合わせようとしますが、それ自体は悪いことではありません。
しかし、合わせすぎると、自分がなくなります。
何をしたいのか分からない。
何が面白いのか分からない。
何を考えているのか分からない。
ただ求められたことに対応するだけになる。
その結果、自分の頭で考える主体性がなくなり、仕事の面白さも感じられなくなる。
これは、キャリアと人生を生きる上で致命的です。
だからこそ、主体性を取り戻すには、まず意識的に自分自身を持つよう意識し続ける必要があります。
自分はどう考えるのか。
自分は何が面白いのか。
自分は何を大事にしたいのか。
自分はどう仕事を進めたいのか
もし、これらを考えざるを得ない環境に無理やり放り込まれたなら、それは苦しいかもしれませんが、見方を変えればこの上ない幸運だと言えるかもしれません。
主体性は一人で完結しない
最後に、もう一つ大事なことがあります。
主体性というと、どうしても「自分で考え自分で動く」という個人の力に見えます。
しかし、仕事における主体性は、一人では完結しません。
仕事はチームで進みます。
上司がいます。
同僚がいます。
顧客がいます。
他部署がいます。
だから、主体性とは、独りよがりに動くことではありません。
- 自分の意見を持つ
- ただし他者の意見も聞く
- 必要な人を巻き込む
- 決定には従う
- チームの目的に向かって動く
- 自分勝手な暴走をしない
これらが必要です。
主体性とは、組織の中で自分の頭を使い、他者と協働しながら前に進める力です。
だからこそ難しく、価値があるのだと思います。

主体性とは、自分の考えを持ち、仕事を自分で面白くする力である
『「主体性」はなぜ伝わらないのか』を読んで改めて感じたのは、主体性という言葉の難しさです。
誰もが使う言葉なのに、意味は人によって違う。
若手は自分に主体性があると思っている。
しかし、企業や上司は足りないと感じている。
自分の頭で考えること。
自分の意見を持つこと。
筋道の通った自分なりの説明ができること。
そして、プロジェクトを自分で回せること。
これは、かなりコンサル的な定義かもしれません。
すべての職場や仕事に当てはまる絶対解ではありません。
それでも、少なくとも不確実性の高い現代の仕事において、自分の意見を持ち、自分で考え、自分の仕事を前に進める力は極めて重要です。
そして、主体性を持つために必要なのは、以下の2点です。
- 自分は何をすれば仕事が面白いのかに気づくこと
- 自分の仕事には裁量権があると認識すること
社会に合わせすぎると、自分がなくなります。
自分がなくなると、自分の頭で考えられなくなります。
そして仕事は、ただの作業になり面白味もやりがいも感じられなくなります。
だからこそ、自分のキャリアと人生を歩めるよう、本書を通じて自分なりのやりがいと主体性を見つけてみてください。
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