コンサルタントに必要な資質

ミスした時に、コンサルタントはどうすべきか

tsumakawa

失敗を「信頼の負債」にする人と、「資産」に変える人の決定的な違い

コンサルタントという仕事をしていると、どれだけ経験を積んでも、どれだけ注意していても、ミスは起きます。

前提条件の見落とし
関係者の温度感の読み違い
政治的な地雷の踏み抜き
スケジュール・品質・期待値のズレ

むしろ、難しい仕事をしている人ほど、ミスを完全にゼロにすることは不可能です。

それでも、コンサルとして評価が大きく分かれるのは、「ミスをしたかどうか」ではありません。

ミスが起きた“後”にどう振る舞ったか
ここに、ほぼすべてが集約されます。

この記事では、現役コンサルとして数え切れない冷や汗をかいてきた立場から、

  • ミスに気づいた瞬間、まず何を考えるべきか
  • 報告・共有の順序をどう設計するか
  • なぜミス対応がそのまま信頼残高になるのか

以上を、実体験に基づいて整理します。


大前提:ミスは評価を下げる「出来事」ではない

最初に、現実をはっきり言います。

コンサルの世界では、ミス=即失格ではありません。

むしろ実務では、

  • 難しい局面に突っ込めば、必ず想定外は起きる
  • ミスを恐れて安全圏にいる人ほど、価値を出せない
  • 本当に評価されるのは「問題が起きた時の挙動」

という構造があります。

だからこそ怖いのは、ミスそのものではなく、

  • 隠す
  • 先延ばしにする
  • 自分一人で抱え込む

この3つです。

ミスは起きた瞬間より、隠した瞬間に致命傷になる。
これは、ほぼ例外がありません。


なぜ「様子を見る」が最悪の判断になるのか

ミスに気づいた直後、人はこう考えがちです。

  • まだ確定じゃない
  • もう少し調べてから
  • うまくすれば自分でリカバリーできるかも

一見すると合理的に見えます。

しかし、コンサルの仕事では、この判断が状況を悪化させます。

理由は単純で、

  • コンサルの仕事は自分一人で完結しない
  • 意思決定が連鎖的に進む
  • 後工程ほど、修正コストが指数関数的に上がる

からです。

あなたが1時間黙る間に、他の誰かが「その前提を正しいものとして」動いていく。

そして後になって必ずこう言われます。

「なんで、もっと早く言わなかった?」

これは能力の問題ではありません。
報告タイミングの問題です。


鉄則:悪い報告ほど「早く・短く・確定的に」

ミス対応の第一原則は、驚くほどシンプルです。

バッドニュース・ファースト

  • 早く
  • 短く
  • 結論から

これはマナーでも、気遣いでもありません。
プロとしての生存戦略です。

やってはいけない切り出し方

  • 「少しご相談がありまして…」
  • 「もしかすると問題かもしれなくて…」
  • 「まだ確定ではないのですが…」

これらは、相手の不安と苛立ちを最大化します。

取るべき切り出し方

「私の判断ミスで、前提に誤りがありました」
「このままだと、◯日のアウトプットは成立しません」

最初の一言で、以下を確定させます。

  • 何が起きたか
  • どれくらい深刻か
  • 誰の責任か

言い訳や背景説明は、その後です。


ミス報告で信頼を落とす最大の原因は「混ぜること」

報告時に最も注意すべきなのは、事実と解釈を混ぜないことです。

上司やクライアントが欲しいのは、

  • あなたの悔しさ
  • 焦り
  • 主観的な感想

ではありません。

意思決定できる材料です。

報告の基本構造

  1. 事実(何が起きたか)
  2. 時系列(いつ・どこで・誰が)
  3. 現在の影響範囲
  4. 放置した場合の最悪シナリオ

これを、淡々と。

感情は報告後に一人で処理すればいい。
報告の場で感情を出すほど、判断は遅れます


「どうしましょうか?」で終わる人は信頼されない

ミスをした側が絶対にやってはいけないことがあります。

それは、判断を丸投げすることです。

もちろん、最終判断は上位者やクライアントが下します。
しかし、「どうすればいいでしょうか?」だけで終わる人は、「問題を運んできただけの人」になります。

最低限やるべきこと

先ず、選択肢を用意することが重要です。

理想は3つ。

  • 最善案(リスクは高いがリターンが最大)
  • 現実案(実行可能性が高い)
  • 撤退案(損失最小化)

そして、「私は◯案が最も現実的だと考えています」と、自分の意見を添える。

この瞬間、あなたは「ミスした人」から「状況を前に進める人」に変わります。


クライアント対応で求められるのは「安心感の設計」

クライアントにミスを伝える場面で、最も重要なのは謝罪の深さではありません。

不確実性をどれだけ減らせるか

人は、悪い知らせそのものよりも、

  • この先どうなるのか分からない
  • 収束の見通しが立たない

状態に強い不安を感じます。

だからこそ、

  • 結論
  • 理由
  • 次の一手
  • いつまでに何が分かるか

をセットで示す。

「問題は起きています。ただし、制御可能な範囲で打ち手もあります。」という状況を作れるかどうかで、クレームになるか信頼が積み上がるかが分かれます。


ミス後に一番危険なのは「自分を否定し始めること」

報告が終わった後、必ずこう思います。

「自分は無能だ」
「向いていないんじゃないか」

でも、ここで重要なのは、仕事の失敗と自分の価値を切り離すこと。

コンサルの仕事は、

  • 難易度が高く
  • 正解が後からしか分からず
  • 不確実性を扱う

構造になっています。

失敗は人格の欠陥ではありません。
環境と難易度が生んだイベントです。

反省は必要ですが、過度な自分への罰は不要です。


ミス対応は、キャリアを加速させる

コンサルとして信頼される人は、「失敗しない人」ではありません

「失敗した時に逃げない人」です。

  • 早く出す
  • 正直に言う
  • 打ち手を考える
  • 当事者でい続ける

これをやり切った人は、次から、より重たい仕事を任されます。

なぜなら、「あいつは、ヤバい時に任せられる」という評価は、順調な時には絶対に取れないからです。


結論:ミスは避けられない。姿勢は選べる

ミスそのものは、避けられません。
しかし、

  • どう向き合うか
  • どう報告するか
  • どう引き受けるか

は、選べます。

ミスは、あなたを壊す爆弾にもあなたを押し上げる推進力にもなります。

分かれ道は、いつも同じです。

逃げるか、当事者で居続けるるか

深呼吸して、結論から。
それが、コンサルタントとして生き残るための作法です。


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kei_nakamura
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経営コンサルタント
外資系コンサルティングファームで経営コンサルタントとして働く30代。 これから「コンサルタント」というキャリアそして人生を目指す学生、社会人に向けコンサルタントという世界で生き抜くための考え方やおすすめの書籍情報を執筆中。
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