「自分はどこでもやっていける」という人間が失敗するやばい理由
キャリアの相談をしていると、かなりの頻度で耳にする言葉があります。
「自分は、どこでもやっていけると思うんですよね」
一見するとこの言葉は、自信があり、主体性があり、前向きで、頼もしさすら感じさせます。
しかし、結論から言います。
この言葉を自然に口にする人ほど、キャリアで大きくつまずく確率が高い。
しかもその失敗は、派手ではありません。
静かに、しかし確実に進行します。
- 評価が思うように上がらない
- 組織の中で居場所がなくなる
- 「思っていた話と違う」が積み重なる
そしてある日、「こんなはずじゃなかったのに」という状況に立たされます。
そうならないために、一つ一つ丁寧に解説していきます。
1. そもそも「どこでもやっていける人間」は存在しない
まず、避けて通れない現実の話をします。
人のパフォーマンスは、
- 環境
- 人間関係
- 権限構造
- 評価基準
- 期待される役割
によって、驚くほど変わります。
同じ人間でも、
- A社ではエース
- B社では凡人
- C社では厄介者
になることは、まったく珍しくありません。
それにもかかわらず、
自分はどこでもやっていける
と言う人は、無意識のうちに
「自分の成果=自分の能力100%」と誤認していることが多くあります。
これは、自信というよりも環境の影響を過小評価している状態です。
そして、この認識ズレが後々効いてきます。
2. 成功体験を「普遍化」してしまう罠
「どこでもやっていける」と思う人の多くは、実際に一度はうまくいった経験を持っています。
- 難しい環境で成果を出した
- 評価され、昇進した
- 周囲より明らかに抜けていた
問題は、その成功を
これは自分の実力
再現性はどこに行ってもある
と、無条件に一般化してしまうことです。
しかし現実には、
- 上司が優秀だった
- 権限が委譲されていた
- 初期期待値が低かった
- 組織が成長期だった
といった「環境要因」が成果のかなりの部分を占めているケースは少なくありません。
それを切り分けないまま次の環境に行くと、同じ成果は再現されない。
そして初めて、「自分の実力だと思っていたもの」の正体に直面します。
3. 「環境選び」を軽視する人ほど、環境に殺される
皮肉な話ですが、
どこでもやっていける
と言う人ほど、環境選びが雑です。
- 有名だから
- 成長できそうだから
- オファー条件が良かったから
といった理由で決め、
- 組織文化
- 意思決定の速さ
- 人の癖
- 暗黙のルール
を、深く見ない。
結果どうなるか。
「能力はあるのに、噛み合わない人」という、最も厄介なポジションに落ちます。
本人は苦しく、周囲からは扱いづらい。
評価も上がらず、しかし「無能」と切り捨てられるほど単純でもない。
一番消耗するケースに陥ります。
4. 「適応力が高い」と「自分を消せる」は別物
よくある勘違いがあります。
自分は適応力が高い
だからどこでも大丈夫
しかし実際には、
- 価値観を曲げ続ける
- 違和感を無視する
- 本音を抑え込む
上記をすることで「適応している」人も多い。
これは適応ではありません。単なる消耗です。
短期的には耐えられても、
- 判断が鈍る
- 主体性が消える
- ある日突然、折れる
という形で、必ず後から返ってきます。
「耐えられる」と「活躍できる」は、まったく別物です。
5. 「どこでも通用する人」ほど、自己分析が浅い
本当に危険なのはここです。
「どこでもやっていける」と思っている人ほど、
- 自分の強みが、どの条件で発動するか
- 逆に、どんな環境で弱くなるか
を言語化できていない。
つまり、自分の“取扱説明書”を持っていませn。
だから、
- 合わない環境に突っ込む
- うまくいかない理由が分からない
- 最終的に、周囲や運のせいにする
というループに入ります。
これは能力の問題ではなく、認知の問題です。
6. 本当に強い人ほど「どこでも」は言わない
では、本当に強い人はどう考えているのか。
答えはシンプルです。
本当に強い人ほど、
どこでも、ではない
この条件なら、強い
と理解しています。
- この規模感
- この意思決定スピード
- この上司のもと
- この裁量の範囲
だからこそ、
- 無駄な勝負をしない
- 環境選びに時間をかける
- 勝てる場所に自分を置く
これは逃げではなく戦略です。
7. キャリアで本当に持つべき問い
最後に、問いを一つ置いておきます。
問うべきなのは、
「自分はどこでもやっていけるか」ではありません。
問いはこれです。
- 自分は、どんな条件で最も力を出せるのか
- どんな条件だと、確実に弱くなるのか
これを把握している人は、キャリアで大きく外しません。
まとめ:「どこでもやっていける」は思考停止の言葉
「自分はどこでもやっていける」
この言葉は、自信のようでいて、実は現実から目を逸らすための便利なフレーズです。
- 環境を見なくて済む
- 自分を疑わなくて済む
- 失敗の理由を考えなくて済む
だからこそ、危険。
キャリアで生き残る人は、
- 自分を過信しない
- 環境を甘く見ない
- 勝てる場所を冷静に選ぶ
「どこでもやっていける人」ではなく、「ここならやっていける人」を目指した方がいい。
その方が、よほど強く、長く、そして楽に生きられます。
そして、キャリアの成功とは、そうした持続性の上に成り立ちます。
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