コンサルタントに必要な資質

市場価値が幻想である理由と、本当に意識すべきこと

tsumakawa

転職の話になると、ほぼ必ず登場する言葉があります。

市場価値

  • 市場価値を上げたい
  • 市場価値が高いうちに転職したい
  • この会社にいても市場価値が上がらない

まるで人間一人ひとりに、客観的で不変の値段が付いているかのように語られます。

しかし、絶対的な市場価値など存在しません。

そしてこの幻想を信じすぎることが、多くの人のキャリアをかえって不安定にしています。


1. 市場価値という言葉が「もっともらしく」見える理由

市場価値という言葉が広まった背景には、分かりやすさがあります。

  • 年収
  • 職種
  • スキル
  • 会社名

これらを並べれば、人を比較した気になれるからです。

また転職市場では、

  • 「即戦力」
  • 「再現性」
  • 「〇〇経験3年以上」

といったラベルが必要になるため、あたかも人材の価値が数値化できるように見えます。

しかし、これは便宜的な指標にすぎません。


2. 人は「環境×関係性」でしか力を発揮できない

冷静に考えてみてください。

同じ人が、

  • 上司が変わっただけで評価が激変する
  • 部署が変わっただけで成果が出なくなる
  • チームが合うだけで急に活躍し始める

こうしたことは、珍しくありません。

これは何を意味するか。

能力は単体では存在しないということです。

能力とは常に、以下要素の掛け算で表に出ます。

  • 環境
  • 人間関係
  • 評価軸
  • 期待される役割

3. 「どこでも通用する人」は、ほぼ存在しない

市場価値という言葉が生む最大の誤解は、

「自分はどこでも成果を出せるはずだ」という幻想です。

確かに、どんな環境でも結果を出す人はいます。
しかしそれは、本当に一握りです。

大多数の人間は、

  • 合う環境では力を発揮し
  • 合わない環境では削られる

という、ごく普通の特性を持っています。

これは弱さではありません。
人間として自然な状況です。


4. 市場価値を追いかける転職が危険な理由

ありもしない「絶対的市場価値」を信じると、次のような行動に陥りがちです。

  • 今より市場価値が高そうな会社へ行く
  • スキルが評価されそうな業界へ移る
  • 年収が上がる=価値が上がると考える

しかしここには、致命的な落とし穴があります。

評価が変われば、価値も消える

転職先では、

  • 評価軸
  • 文化
  • 期待される役割

がすべて変わります。

前職で評価されていた強みが、一切評価されないことも珍しくありません。

その瞬間、

  • 市場価値が高かったはずの自分
  • 即戦力のはずの自分

という自己認識が、音を立てて崩れます。


5. 市場価値が低いのではなく「環境が合っていない」だけ

ここで多くの人は、こう誤解します。

  • 自分は通用しなかった
  • 能力が足りなかった
  • 市場価値が下がった

しかし実際には、環境との相性が悪かっただけというケースが圧倒的に多い。

にもかかわらず、市場価値という言葉はその事実を見えなくします。


6. 本当に意識すべきは「価値」ではなく「再現条件」

では、何を意識すべきなのでしょうか。

答えはシンプルです。

自分が成果を出せた条件を、正確に理解すること

具体的には、

  • どんな役割のときに力が出たか
  • どんな上司・チームと相性が良かったか
  • どんな評価軸だと伸びたか
  • 何があると消耗したか

これらを言語化できている人は、転職しても環境が変わっても「自分が機能する場所」を選び直せるため、再現性高く活躍することができます。


7. 市場価値が高い人の正体

皮肉な話ですが、市場価値が高い人ほど、市場価値を気にしていないという傾向があります。

彼らがやっているのは、

  • 今いる環境で成果を出す
  • 信頼を積み重ねる
  • 難しい役割を引き受ける
  • 再現性のある経験を増やす

ただそれだけです。

結果として、

  • 声がかかる
  • 選択肢が増える

それを後から「市場価値が高い」と呼んでいるにすぎません。


8. 転職すべきかどうかの本当の判断軸

転職を考えるとき、問うべきは、市場価値が上がるか?ではありません。

問うべきは、以下のようなポイントです。

  • この環境で、自分は力を発揮できているか
  • これからも再現性のある経験を積めるか
  • 心身を壊さずに走り続けられるか

まとめ:幻想を追うより、足場を固める

市場価値という言葉は、思考停止を生みやすい言葉です。

  • 上げなければならない
  • 下がる前に動かなければならない

しかし現実は違います。

  • 価値は環境依存
  • 評価は関係性依存
  • 成果は条件依存

だからこそ、

  • ありもしない市場価値を追いかけるより
  • 自分が力を出せる条件を理解し
  • その条件を満たす場所を選び続ける

それこそが、最も安定したキャリア戦略です。

転職するか、残るか。
動くか、留まるか。

重要なのはその選択が、幻想ではなく自己理解に基づいているかどうか

それだけです。

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経営コンサルタント
外資系コンサルティングファームで経営コンサルタントとして働く30代。 これから「コンサルタント」というキャリアそして人生を目指す学生、社会人に向けコンサルタントという世界で生き抜くための考え方やおすすめの書籍情報を執筆中。
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