コンサルタントに必要な資質

頭を使っていないことを自覚するにも頭を使わないといけない 現役外資コンサルから見る「思考停止」の怖さと、その克服法

tsumakawa

1. 「頭を使っていない」とは、どういう状態か

まず最初に、タイトルにある「頭を使っていない」という言葉を正確に定義しておきましょう。

「人間は常に何かを考えているのだから、頭を使っていないなんてあり得ない」そう感じる人も多いはずです。

確かに、脳は常に活動しています。

しかし、ここで問題にしているのは脳の稼働ではありません。
論点はもっと別のところにあります。

本記事で言う「頭を使っていない」とは、

自分の意思・判断・仮説を介在させず、環境や他人の意向に“反応するだけ”で行動している状態

を指します。

例えば、次のような行動です。

  • 上司が言ったから、その方向で進める
  • 会議では空気を読んだ無難な意見しか言わない
  • 飲み会の店選びで「なんでもいい」と言い続ける
  • 業務手順を深く考えず、前例をそのままコピーする

一見すると「問題なく仕事をしている人」に見えます。
しかし、これらに共通しているのは、「自分はどう思うか?」という問いが存在しないという点です。

この問いが欠落した状態こそが、「頭を使っていない」状態の本質です。


2. なぜ自覚するのがこんなに難しいのか

この問題が厄介なのは、本人にとって極めて自然で、違和感を持ちにくいという点にあります。

理由はシンプルです。

人間の脳は、できるだけエネルギーを使わないように設計されています。
意思決定や思考には、想像以上に負荷がかかる。

だから、

  • 指示に従う
  • 周囲に合わせる
  • 前例を踏襲する

という行動は、脳にとって非常に楽なのです。

ここに大きな落とし穴があります。

「頭を使っていないこと」に気づくには、すでに「頭を使う」必要がある

という自己矛盾です。

「自分は今、思考停止していないか?」この問いを立てられる人だけが、初めて自分を客観視できます。

逆に言えば、この問いを持てない人は、

  • 社会人年数だけが増え
  • 経験は積んでいるように見えて
  • 思考力はほとんど成長していない

という状態に陥ります。

そして本人は、その事実に気づけません。


3. 現場で頻発する「思考停止」の具体例

私は外資系コンサルティングファームにおいて、多くのクライアント企業・多様な職種の人たちと仕事をしてきました。

その中で痛感したのは、思考停止に陥っている人は想像以上に多いという現実です。

例えば、こんな場面があります。

会議で資料について質問しました。

「この資料は、何を意思決定させるために作ったんですか?」

返ってきた答えはこうでした。

「上司に作れと言われたので…」

別の現場では、業務フロー改善の議論中にこう聞きました。

「この手順って、なぜ必要なんでしょう?」

返答は、「昔からそうなっているので」

どちらも、その人自身の思考が一切介在していません

重要なのは、これが怠慢ではないという点です。
多くの場合、本人は真面目に仕事をしています。

ただ単に、自分の頭で考える」という訓練をこれまでほとんど受けてこなかった、それだけです。

そして厄介なことに、社会人歴が長い人ほどこの傾向は強まります。
慣習・前例・過去の成功体験が、思考を止めてしまうからです。

結果として、

  • 何を考えているのか分からない
  • 言われたことしかできない
  • 応用が利かない

という評価につながっていきます。


4. なぜ「今の時代」は特に危険なのか

この問題が、今になってより深刻化している理由があります。

それは、

  • ハラスメントへの過敏な反応
  • 上下関係に踏み込めない空気
  • 多様性尊重という名の「無干渉」

こうした環境変化です。

昔であれば、上司や先輩が「もっと自分で考えたほうがいいよ」と言ってくれたかもしれません。

しかし今、それを言うのはリスクです。
結果としてどうなるか。

  • 本人は気づけない
  • 周囲も指摘しない
  • 思考停止が放置される

そして、ある日突然、「なぜか評価されない」「なぜか仕事が任されない」現実に木が付きます。

でも理由は誰も教えてくれません。

だからこそ今は、自分で気づき自分で修正するしかないのです。


5. 思考停止から抜け出すための具体策

では、どうすればいいのか。
精神論ではなく、実行可能な形で整理します。

(1) 「自分はどう思うか?」を強制的に挟む

すべての場面で、この問いを一度入れてください。

  • 会議
  • 資料作成
  • メール返信
  • 日常の選択

意見が浅くても構いません。
大事なのは問いを挟む癖です。

(2) 小さな意思決定で練習する

いきなり仕事で高度な思考は難しい。
だから日常から始めます。

  • 今日は何が食べたいか
  • 休日はどう過ごしたいか

「自分で決める」回数を増やすことが、思考筋トレになります。

(3) ロジックで言語化する

意見を持つだけでは不十分です。

  • なぜそう思うのか
  • 根拠は何か

これを言葉にする習慣を持つ。
外資コンサルで最も叩き込まれるのは、まさにここです。

(4) フィードバックを取りに行く

考えている「つもり」になっていることは多い。

  • どう見えているか
  • 伝わっているか

信頼できる他者の視点を借りましょう。


6. 思考は疲れる。でも、確実に面白くなる

正直に言います。
頭を使うのは面倒です。

従ったほうが楽な場面は、必ずあります。

でも、考えた先にしか得られないものがあります。

  • 自分の言葉で話せる感覚
  • 議論を前に進められる手応え
  • 「なるほど」と言われる快感

これは、指示待ちでは絶対に味わえません。

思考は筋トレと同じです。
続けるほど、自然に使えるようになります


7. キャリアを分ける「決定的な差」

最後にキャリアの話をしましょう。

どの組織にも、年数は長いが成長していない人がいます。

一方で、年次以上に信頼され任される人もいます。

この差を生む最大要因は、「頭を使ってきたかどうか」です。

経験は、思考を通して初めて「知恵」になります。
考えなければ、年数はただの経過時間です。


まとめ

「頭を使っていないことを自覚するにも、頭を使わなければならない」

これは逆説ではなく、現実です。

  • 自分はどう思うのか
  • なぜそう思うのか
  • 根拠は何か

この問いを持ち続けた人だけが、

  • 埋もれず
  • 代替されず
  • キャリアを積み上げていきます

楽な道に流されるのは簡単です。
でも一度立ち止まり、「考える側」に回った人だけが、仕事も人生も面白くできるのです。

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kei_nakamura
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経営コンサルタント
外資系コンサルティングファームで経営コンサルタントとして働く30代。 これから「コンサルタント」というキャリアそして人生を目指す学生、社会人に向けコンサルタントという世界で生き抜くための考え方やおすすめの書籍情報を執筆中。
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