出世や外部からの評価ではなく成長を目指す生き方のすすめ

はじめに
社会人として働くということは、人生の多くの時間を仕事に費やすということです。
週5日、1日8時間以上を仕事に充てれば、それは人生の3分の1を占めます。多くの人は「どう働くか?」以上に「なぜ働くか?」「何を目指して働くか?」という問いに直面します。
これに対する答えは人それぞれです。
「出世して役職を上げたい」「年収を上げたい」「安定した雇用を得たい」。
逆に「最低限の仕事で生活費を稼ぎ、余暇を充実させたい」と考える人も増えてきました。
どちらも一理あります。しかし、共通しているのは、「外部からの評価やコントロールできない要素に依存している」 ということです。
出世や評価を求める人は、他人の承認を得ることで自分の立場を固めようとします。一方、余暇を第一にする人も、会社から最低限の給与が支払われ続けることを前提にしています。つまりどちらも、自分の幸福を「外部の条件」に委ねているのです。
しかし、忘れてはいけないこととして、この依存には限界があります。
だからこそ私は、外部評価を軸とするのではなく、「成長を軸に生きる」 ことを勧めています。
成長とは、昨日の自分よりも少しだけ進歩していると感じられることです。それが仕事であってもプライベートであっても構いません。自分の足跡を自分で刻んでいく感覚こそが、人生を豊かにし、幸福を持続させる最も堅実な道となります。
出世や評価を目指す生き方の魅力と限界
出世を軸にする生き方の魅力
社会人にとって、出世はわかりやすい成功の尺度です。
役職が上がれば給与が増え、権限も大きくなり、社会的な承認も得られます。上司や同僚から「すごい」と認められることは、自己承認欲求を満たすという点でも大きな魅力です。
さらに、責任のある立場になることで、より大きなプロジェクトや意思決定に関わることができ、自分の力を試すチャンスが増えるのも事実です。
外部評価に依存する限界
しかし出世や評価を軸にすると、必ず行き詰まります。
- 競争の構造的な限界:役職の数は限られています。努力してもポストが空かなければ昇進できません。
- 評価の主観性:人事評価には必ず人の主観が入り込みます。成果だけでなく、上司との相性や社内の政治的力学に影響されます。
- 外部要因の不確実性:経営方針の変更、市場の環境変化、突然の組織再編など、自分ではどうしようもない外部要因に振り回されます。
つまり、外部評価に軸を置いた生き方は「自分の幸福を他人のさじ加減に委ねる生き方」でもあるのです。
最低限の仕事だけで生きる生き方の魅力と課題
気楽さの魅力
対照的に、「責任を負わず最低限の仕事だけして、余暇を楽しむ」という選択肢も広がっています。
この生き方の魅力は、心の軽さにあります。責任の重圧に悩まされることなく、自分の趣味や家族との時間に注力できます。近年の「ワークライフバランス」志向は、この価値観を後押ししています。
成長の欠如がもたらす停滞感
しかし、この生き方には大きな落とし穴があります。それは 「成長の欠如がもたらす停滞感」 です。
人間は、単に楽をしているだけでは幸福を感じにくい存在です。一般的に人が幸福を感じるために必要な要素として「有能感」「自律性」「関係性」が挙げられています。
最低限の仕事だけを繰り返す生活では、確かに「自律性」はあるかもしれません。しかし「有能感」、つまり「自分ができるようになった」「昨日より進歩した」という感覚は失われがちです。
有能感が欠けると、人は次第に「自分は停滞しているのではないか」という不安に苛まれます。余暇を楽しんでいるはずなのに、心の奥に「このままでいいのか」という焦燥感が積み重なっていくのです。
さらに停滞感は、次のような副作用をもたらします。
- 自己評価の低下:「自分は成長していない」と思い込むことで、自己肯定感が下がる。
- 不安の増大:スキルや経験が蓄積されないため、将来の転職や変化への耐性に不安を抱く。
- 余暇の空虚化:成長感が欠けると、趣味や娯楽さえも「消費的」に感じられ、充実度が下がる。
つまり「気楽さ」を優先するだけでは、長期的に見て心の安定を得にくいのです。
成長を軸にした生き方のすすめ
成長は小さくていい
だからこそ重要なのは、成長を軸に生きることです。
ただしここでいう成長は、出世や大きな業績に限られるものではありません。
- 昨日より少し早く業務を終えられた
- 苦手だった上司に一言でも意見を言えた
- 新しいアプリを試して業務効率を上げられた
小さな出来事であっても、自分がそれをきちんと認識し前に進んでいることを感じられることが大切です。
成長が幸福感をもたらす理由
成長を軸にすると、以下の効果があります。
- 自己効力感の向上:「自分の力で一歩進んだ」という感覚が自信を強める。
- 外部要因への依存度の低下:他者の評価に左右されず、自分で幸福をつくれる。
- 挑戦への前向きさ:小さな成長の積み重ねが、新しい挑戦への抵抗を下げる。
つまり成長を軸にすることは、「外部依存からの解放」と「内発的な幸福の獲得」を同時に実現するアプローチなのです。
プライベート重視の人にこそ「成長」を
ここで強調したいのは、プライベートを重視する人にこそ成長が必要だという点です。
例えば:
- 趣味のランニングで1km多く走れるようになった
- 料理のレパートリーが増えた
- 子どもとの関わり方を工夫して、より良い時間を過ごせた
これらも立派な成長です。
プライベートを充実させたい人ほど、成長を意識することで余暇が「単なる消費時間」から「自己実現の場」に変わっていき、より大きな幸福感を得られます。
成長を目指す具体的な方法
- 行動単位での強み探し:「考えるのが好き」「話すのが得意」など、細かく切り分けて自分の得意を認識する。
- 苦手回避の戦略:成長=苦手克服ではない。苦手を避け、得意を伸ばすことも有効。
- 小さな改善を積み重ねる:「昨日より5分早く」「昨日より1ページ多く」など継続可能な習慣を持つ。
- 振り返りの習慣化:毎日・毎週、自分の成長を振り返り言語化することで、自己効力感を強める。
おわりに
社会に出て働く以上、出世や外部評価を完全に無視することはできません。しかし、それを人生の軸にしてしまうと、不安と失望から逃れることはできません。
一方で「最低限の仕事と余暇」だけを目指す生き方も、短期的には楽でも、成長の欠如が停滞感を生み、長期的には幸福を損ねる可能性があります。
だからこそ、「昨日の自分より少しでも成長する」 という基準を持つことを推奨しています。
これは、出世を目指す人にとってはキャリア形成の軸となり、プライベートを重視する人にとっては余暇をより豊かにする鍵となります。
外部に依存せず、自分自身の成長を糧にする。
それが、どんな時代においても揺らがない、生き方の土台になるはずです。
今日のあなたが、明日のあなたにとって「少し誇れる存在」になるように。
まずは小さな一歩を踏み出してみてください。
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