退職や物事をやめる時、周囲や上司に言いづらいのはなぜなのか―退職代行が流行る背景と、自分の意思を伝えることに負い目を感じなくていい理由
退職を決意した瞬間よりも、「それをどう伝えるか」を考えている時間の方が、ずっと苦しい。
上司の顔が浮かぶ。
チームの空気がよぎる。
引き止められたらどうしよう、と想像する。
そして多くの人が、こう思う。
「自分が悪いことをしている気がする」
「裏切りなんじゃないか」
「不義理だと思われたくない」
実際、退職代行というサービスがここまで広がった背景には、退職そのものより、「伝える行為」が精神的に耐えられないという現実があります。
ではなぜ、自分の人生の選択であるはずの「やめる」という行為が、これほど言いづらいのでしょうか。
言いづらさの正体は「迷惑」ではなく「関係性への過剰な責任」
多くの人は、こう説明します。
- 迷惑をかけるから
- 引き継ぎが大変だから
- 人手不足だから
確かに、それらは事実です。
しかし、本当の理由はそこではありません。
「相手の感情に対して、自分が責任を負わなければならない」と思い込んでいること
これが原因です。
上司がどう感じるか
同僚がどう思うか
場の空気がどう変わるか
それらすべてを、自分が引き受けるべきだと無意識に考えていると、苦しいと感じてしまいます。
日本的な「関係を壊してはいけない」という刷り込み
私たちは、かなり長い時間をかけてこう教えられてきました。
- 空気を読むことが大事
- 波風を立てないことが美徳
- 和を乱すのは悪
この価値観の中では、「去る人」=「場を乱す人」になりやすい。
そのため、以下のような感情が本人の中に生まれてしまいます。
- 辞める=否定
- 去る=裏切り
ですが、冷静に考えてみてください。
会社も、組織も、プロジェクトも、人が入れ替わることを前提に設計されているものです。
本来、一人が辞めたことで壊れる関係性や仕組みは、最初からどこかに無理があります。
「後々の関係性を考えるべき」という話と、これは別の話
ここで誤解してほしくない点があります。
- 不義理をしていい
- 雑にやめていい
- 感謝を示さなくていい
という話ではありません。
後々の関係性を考え誠実に振る舞うことはとても大切です。
ただし、それと「自分の意思を伝えることに負い目を感じる必要があるか」ということは全く別の話です。
誠実さとは、自分を犠牲にして沈黙することではありません。
なぜ「堂々と辞める」ことができないのか
多くの人が抱えているのは、以下のような状態です。
- 自分の選択に自信がない
- 正当化できる理由を探している
- 誰かに許可を求めている
だから、「もっと辛くなってからじゃないと辞めちゃいけない気がする」「限界まで頑張った証拠がないと申し訳ない」という思考になる。
でも、人生において、辞める理由に“許可”は要りません。
納得できない環境から離れることは、合理的で自然な選択です。
退職代行が流行るのは「弱さ」ではない
退職代行を使う人を、「逃げ」「根性がない」と見る声もあります。
しかし、実際には、以下のような環境が存在することも事実です。
- 感情的圧力が強すぎる
- 話し合いが成立しない
- 人格否定と結びついている
それを避けるための手段が生まれるのは、ある意味必然です。
ただし同時に、「本来は自分の意思を自分の言葉で伝えていい」という事実まで、忘れる必要はありません。
あなたは、自分の選択に自信を持っていい
退職や、何かをやめるという決断は、無責任でも冷酷でも裏切りでもありません。
それは、「自分の人生をどう生きるか」という選択です。
他人の人生を奪っているわけではない。
自分の人生を取り戻しているだけです。
伝えるべきなのは「決意」と「感謝」だけ
言い方は、シンプルで大丈夫です。
- お世話になったことへの感謝
- ここで得た経験への敬意
- 自分なりに考え抜いたという事実
それだけ伝えれば、十分です。
相手の感情まで背負わなくていい。
全員に納得してもらう必要もない。
誠実であることと自分を犠牲にすることは違います。
気まずさは「悪」ではない。必要以上に抱えなくていい
退職を伝えるときに感じる気まずさは、あなたが冷たい人間だからではありません。
むしろ、人との関係を大切に真面目に向き合ってきた証拠です。
だからこそ、あなたの人生の選択に罪悪感は必要ないという視点を持ってみてください。
決意と感謝を伝える。
それで十分です。
あとは、それぞれの人生が、それぞれの場所で続いていくだけ。
堂々と、自分の人生を選んでいい。
それが、大人としての自然な姿です。
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