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転職する度に、「その環境で成果を出して成長する」という権利とチャンスを放棄しているという事実。

tsumakawa

転職は、今や珍しい選択ではありません。
むしろ「成長のため」「環境を変えるため」という理由で、前向きに語られることの方が多いでしょう。

確かに、転職が必要な場面はあります。
心身を壊す環境、構造的に報われない職場、明らかなミスマッチ。
そこから離れる判断は、むしろ健全です。

ただ一方で、あまり語られない事実があります。

転職するたびに、その環境で成果を出し、成長する権利とチャンスを自ら放棄しているという側面です。

これは感情論ではなく、構造の話です。


成長とは「環境に慣れた後」にしか起きない

どんな職場でも、最初の1年は大抵苦労します。

  • ルールを覚える
  • 人間関係を把握する
  • 期待値を探る
  • 地雷を踏まないように振る舞う

この期間に起きているのは、適応であり成長ではありません。

本当の意味での成長が始まるのは、以下のフェーズを経た後です。

  • 環境の癖が分かり
  • 期待される役割を理解し
  • 自分の裁量で結果を出し始めてから

つまり、成果を出すフェーズは、常に後半にあります。

転職とは、この「後半フェーズ」に入る直前、もしくは入りかけたところでリセットをかける行為でもあります。


「環境が悪い」は、常に正しいとは限らない

転職理由として、よく挙げられる言葉があります。

  • 評価されない
  • 成長できない
  • 任せてもらえない
  • 裁量がない

これらが事実であるケースも、確かにあります。

しかし同時に、こういう構造も存在します。

まだ成果を出していない→ 信用が足りない→ 任されない→ 成長していないように感じる

成果と裁量と信頼は循環しています。
どれか一つだけ、先にもらえることはほとんどありません。

環境が悪いのか、まだ環境から信用を引き出す段階にいないのか。

この見極めを飛ばした転職は、同じ不満を持ち越す可能性が高くなります。

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転職を繰り返す人が失っていく「見えない資産」

転職を重ねることで失われるものは、スキルだけではありません。

もっと厄介なのは、次のような無形資産です。

  • 「この人なら任せられる」という信頼
  • 過去の失敗込みでの評価
  • 難しい仕事を振られるポジション
  • 多少の無茶を許される関係性

これらは、時間をかけてしか得られないものです。

一方で転職すると、以下の状況からのスタートとなります。

  • 毎回ゼロから信用を積む
  • 常に「様子見」の立場に置かれる
  • 大きなチャレンジは回ってこない

本人の能力とは無関係に、「安全な仕事しか任されない人」になりやすいのです。


「成長のための転職」が逆効果になる瞬間

特に注意が必要なのは、次の思考です。

この環境では成長できない
次の環境なら、もっと成長できるはず

この考え方自体は、間違っていません。

ただし、どの環境でも同じ判断を下している場合、問題は環境ではなく、向き合い方にある可能性が高い。

  • 成果が出る前に不満を感じる
  • 任される前に物足りなさを感じる
  • 評価される前に見切りをつける

これを繰り返すと、「成長のために動いているはずなのに、どこにも深く根を張れていない」という状態に陥ります。


転職しないこと=我慢、ではない

ここで誤解してほしくないのは、「転職するな」と言いたいわけではありません。

重要なのは、以下を冷静に整理したうえで判断をすることです。

  • 今、自分はどのフェーズにいるのか
  • まだ成果を出し切っていないだけではないか
  • この環境で使い切っていないカードはないか

本当に環境が合わないなら、離れるべきです。
しかし、成果を出す前に去る癖評価される前に諦める癖がついてしまうと、どこに行っても同じ壁にぶつかります。

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成長とは「居続けた人」にだけ訪れる側面がある

厳しい言い方をすれば、成長には「滞在条件」があります。

  • ある程度の期間、同じ環境に居続けること
  • 面倒な役割を引き受けること
  • 評価が低い時期を耐えること

これらを経て初めて、以下の状態に入ります。

  • 発言が重くなる
  • 意見が通りやすくなる
  • 難しい仕事が回ってくる

転職は、この信頼による好循環が生まれる直前でテーブルをひっくり返す行為でもあります。


転職は「権利」だが「コスト」も確実に存在する

転職する自由は、誰にでもあります。
それ自体は、間違いなく権利です。

ただし同時に、以下を放棄している側面も確かに存在します。

  • その環境で成果を出す権利
  • 信用を積み上げるチャンス
  • 成長フェーズに入る可能性

転職を考えたとき、「この環境はダメか?」だけでなく、

自分は、この環境でやり切ったと言えるか?

この問いを一度だけ、誤魔化さずに考えてみてください。

それでも離れるなら、それは前進です。
しかし、やり切る前に去り続ける限り、成長はいつまで経っても手に入らないままです。

成長は、環境が与えてくれるものではありません。
居続け、使い切った人にだけ残る副産物です。

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経営コンサルタント
外資系コンサルティングファームで経営コンサルタントとして働く30代。 これから「コンサルタント」というキャリアそして人生を目指す学生、社会人に向けコンサルタントという世界で生き抜くための考え方やおすすめの書籍情報を執筆中。
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