自分で物事を考える足腰を鍛えるためのおすすめの取り組み5選
コンサルタントにとって「自分で物事を考える力」は、プロフェッショナルとしての基盤そのものです。
クライアントがコンサルタントに期待するのは、単なる知識や理論の提供ではなく、現場の複雑な状況を解きほぐし、真の課題を見つけ出し、解決策を提示することです。
テンプレートや過去の事例に頼り切るのではなく、目の前の状況を自分自身の頭で考え、論理を組み立てる「思考の足腰」が必要不可欠です。
現代のビジネス環境は急速に変化し、正解がない問いや未知の課題に直面する場面が増えており、その必要性は益々増しています。
自分で考える力を鍛えることは、一見地で時間がかかるプロセスに思えるかもしれません。
しかし、その力はどんな業務にも応用が利き、コンサルタントとしての付加価値を飛躍的に高めます。
さらに、考える習慣が身につけば、仕事だけでなく人生のあらゆる局面で自ら道を切り拓く力となるでしょう。
本記事では、なぜ「自分の頭で考える力」が重要なのか、その背景や具体的な鍛え方を深掘りし思考力を養う意義についてお伝えします。
自分で考える力をつけるための5つの手段と心がけ
自分で考える力を育むには、日常生活の中で意識的に行動し、思考を深める習慣を取り入れることが重要です。
以下では、そのために有効な具体的な手段と心がけを紹介します。
1. 自問自答を習慣化する
まず何よりも、日常や仕事をトレーニングの場とし、立ち止まって丁寧に自分自身の思考や考えを見つめて言語化することを心がけましょう。
自問自答は、物事を深掘りし、表面的な理解にとどまらず、自分の意見を形成するトレーニングになります。
これは、問題解決や仮説立案を行うコンサルタントにとって特に有用です。
具体的な取り組み
毎日の終わりに、今日の出来事について3つの質問を自分に投げかける。
例
• 今日の成功は何だったか?
• もっと良くできた点は何か?
• 明日試してみたいことは何か?
• 仕事中に「なぜ?」を繰り返して、本質に近づく。
・上司の指示を受けた際、「なぜこの指示が必要なのか?」「どうすればより良い結果を出せるのか?」と考える。
おすすめ書籍
『ファスト&スロー』は、ノーベル賞受賞者ダニエル・カーネマンが人間の意思決定プロセスを「速く直感的なシステム1」と「遅く論理的なシステム2」の2つの視点で解明した一冊です。
コンサルタントにとっては、バイアスや直感がビジネスの判断に与える影響を理解し、冷静かつ論理的な意思決定を行うための実践的な洞察を得られる点で非常に有用です。
特に、データ分析やクライアントの意思決定をサポートする場面で役立ちます。
2. フレームワーク思考を学ぶ
フレームワークは、考えを整理し、多角的に分析するための道具です。
これを習得すれば、複雑な問題を分解して捉え、自分の意見を構築するプロセスがスムーズになります。
具体的な取り組み
• ロジカルシンキングや問題解決のフレームワークを学ぶ(例: MECE、SWOT分析、ロジックツリー)。
• 実際の業務や日常の課題にこれらのフレームワークを当てはめて考えてみる。
「売上が伸び悩む理由を考える」際、ロジックツリーを使って「顧客数」「購入単価」「購入頻度」の観点で分解し、原因を特定します。
この練習を繰り返すことで、物事の構造や課題を特定するまでのプロセスが自然なものとなり、結果として思考の速さと深さが増し、解決までの時間が短くなります。
おすすめ書籍
『考える技術・書く技術』は、バーバラ・ミントが提唱する「ピラミッド原則」を通じて、論理的思考と効果的な文章構成を学べる一冊であり、コンサルにおける古典的名著です。
結論を先に提示し、その根拠を階層的に展開するフレームワークは、コンサルタントがプレゼンやレポート作成で明快なコミュニケーションを行うために不可欠であり、特に、複雑な問題を分解し、読者やクライアントに「伝わる」形で情報を整理・共有するスキルの向上に役立ちます。
3. 書籍やニュースを批判的に読む
情報を受け取るだけではなく、批判的に検証する習慣をつけることで、自分の視点を養うことができます。
最初のうちは中々自分の意見を持つことが難しいかと思いますが、比較的に知見のある領域やテーマから始めることで着実に力がついていきます。
特に、曖昧なテーマや答えが一つでない問題について考える力がつくため、日々ビジネスやプロジェクトで直面する事象の解析や課題を特定するための仮説思考のトレーニングにうってつけです。
具体的な取り組み
• 本や記事を読んだ際、「著者の意見に同意するか?」を考える。
• 自分が反対意見を持つ場合、その理由をノートに書き出してみる。
• 賛否両論あるトピックをテーマに、双方の視点を理解し、自分の意見をまとめる。
新聞記事で「在宅勤務のメリットとデメリット」を読んだ際、データや意見を基に自分なりの見解を出し、「もし自分が企業の経営者ならどう判断するか」を考える習慣をつける。
4. 仮説思考を身につける
仮説を立てるプロセスでは、事前に考えを巡らせる必要があり、自分の頭で考える習慣が自然と身につきます。
また、仮説を検証することで、思考力と問題解決力の両方を鍛えることができます。
具体的な取り組み
• 仕事や課題に取り組む前に、解決策や結論を予測する「仮説」を立ててから行動する。
• 仮説が間違っていた場合は、その原因を振り返り、次回に活かす。
「新商品の売上が上がらない理由」を調査する前に、「価格設定が高すぎるのではないか」という仮説を立て、それに基づいて顧客アンケートや市場調査を行う。
この結果から得られるフィードバックが、新たな洞察を生むきっかけになります。
大切なことは、答えを知ることではなく、自分なりに考えた答えや仮説と結果として判明した本来の答えがどの程度乖離しており、またそれはなぜか?という点を丁寧に分析することを繰り返すことです。
これを繰り返すことで思考の深さと精度の向上が期待できます。
5. 信頼できるメンターやピアと議論する
コンサルタントとして仕事をしていると、自分自身の考えや物の見方に偏りがあることに日々気付かされます。
その偏りは、自分自身の意見や考えは勿論ですが、そのベースとなる思考やインプット情報も同様です。
他者と意見を交わすことで、自分では気づかなかった視点や盲点に気づくことができます。
また、自分の考えを他者に伝えるプロセスは、思考を整理し、説得力を高める絶好の訓練となります。
具体的な取り組み
• 上司や先輩、同僚と定期的にディスカッションの機会を設ける。
• 自分の意見を積極的に述べ、相手の意見に対して質問や反論をしてみる。
• 多様なバックグラウンドを持つ人々と交流する。
「新規事業のプランをどう進めるべきか?」という議題について、自分なりの意見を持ち、それを元にメンターと議論する中で、思い込みや不足している視点を補う経験を積む。
まとめ: 自分で考える力を育むには
コンサルタントとして成果を出し続けるには、その基礎力として、既存の枠組みや思い込みにとらわれず柔軟に考え抜く力が求められます。
逆に、自分で考える習慣がないと、目の前の課題に対して他人の意見や過去の成功事例に流され、最適解を見つけ出せないばかりか、状況を悪化させることもあります。
「自分で考える力」をつけるためには、日常的な習慣や具体的な方法を実践することが不可欠です。
自問自答やフレームワークの活用、批判的な読書、仮説思考、そして他者との議論を取り入れることで、自分の意見を持ち、深い思考力を鍛えることができます。
これらの手法を日々の仕事や生活に取り入れ、より効果的に自分の頭で考えるスキルを磨いていきましょう。
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