コンサルタントに必要な資質

仮説がないことが仕事をする上でなぜ致命的となるのか

tsumakawa

はじめに─「ちゃんとやっているのに、なぜか評価されない人」へ

仕事をしていると、ある種の違和感を抱く瞬間があります。

  • 言われたことはきちんとやっている
  • 資料も調べ物も丁寧に作っている
  • ミスも少ないし、遅刻もしない

それなのに、なぜか評価が伸びない。信頼されている感じがしない。重要な仕事を任されない。

この違和感の正体は、能力不足でも、努力不足でもないケースがほとんどです。
多くの場合、その原因は驚くほどシンプルで、「仮説を持って仕事をしていない」ただそれだけなのです。

仮説を持たないことは、一見すると無害です。
むしろ「慎重」「真面目」「ミスが少ない」と評価されることさえあります。

しかし長い目で見ると、仮説がない状態で仕事をし続けることは、キャリアにおいて致命傷になり得ます。

なぜなのか。
その理由を、順を追って解きほぐしていきましょう。


仮説を持つとはどういうことか─「賢そうに見える技術」ではない

まず誤解を解いておきたいのは、仮説とは「頭がいい人がやる特別な思考法」ではないということです。

仮説とは、もっと地味で、もっと人間臭いものです。

仮説とは「現時点での暫定的な答え」

仮説とは、限られた情報の中で、自分なりに「たぶんこうだろう」と置く仮の答えです。

  • この売上低下は、価格ではなく認知の問題ではないか
  • クレームが増えた原因は、商品よりもオペレーションにありそうだ
  • この施策が刺さらないのは、ターゲット設定がズレているからではないか

どれも完璧ではありません。
むしろ、雑で、荒くて、間違っている可能性が高い。

それでもいい。
仮説とは「正解」である必要はなく、「思考のスタート地点」であることに意味があります。

仮説を持つ=立場を持つ、ということ

仮説を持つということは、「自分はこう考えている」という立場を引き受けることでもあります。

  • まだ経験が浅いから
  • 情報が足りないから
  • 間違ったら怖いから

こうした理由で立場を持たないまま仕事をすると、人は無意識に「安全地帯」に逃げます。

事実だけを並べる、誰かの意見を引用する、結論を先送りにする

これは一見すると慎重ですが、仕事の世界では「思考放棄」とほぼ同義です。


なぜ仮説がないことが「致命的」なのか

では本題です。
なぜ仮説がないことが、ここまで深刻な問題になるのでしょうか。

① 仕事のサイクルに入れない

仕事は本来、【仮説 → 実行 → 検証 → 修正】というサイクルで回ります。

仮説がなければ、このサイクルは始まりません。
検証も、改善も、そもそも成立しないのです。

仮説のない仕事は、「作業」はあっても「学習」がありません。

これは恐ろしいことです。
なぜなら、人は学習しない限り、経験を積んでも成長しないからです。

② 仕事が「他人のもの」になる

仮説を持たない人は、常にこう考えています。

  • 正解はどこかにある
  • 誰かが教えてくれるはず
  • 自分はそれを実行すればいい

この姿勢では、仕事はいつまでも「借り物」です。
自分の仕事にならない。

上司から見ると、これは非常に分かりやすい。

「この人は、自分でハンドルを握る気がない」

そう判断されると、重要な判断を伴う仕事は、自然と任されなくなります。

③ 思考の解像度が上がらない

仮説があると、人は初めて「比較」できます。

  • この事実は仮説を支持しているか
  • どこがズレているか
  • 代替仮説は何か

仮説がないと、情報はただのノイズです。
集めれば集めるほど、むしろ混乱します。

「調べているのに、何も分からない人」の多くは、仮説を持たずに情報を集めているのです。

④ 上司の思考コストを爆上げする

仮説を持たない報告は、上司にこう言わせます。

  • で、どう思うの?
  • 原因は何だと考えてる?
  • 次に何をすべき?

つまり、部下が考えるべきことを、上司が肩代わりする構造が生まれます。

これが続くとどうなるか。
答えはシンプルです。

「この人と話すと疲れる」

評価は、静かに、しかし確実に下がっていきます。


上司から見た「仮説を持つ部下」の決定的な違い

ここで、同じ事実を報告する2人を想像してください。

仮説がない報告

「売上が前年同期比で10%下がっています」

事実としては正しい。
しかし、ここから何も始まりません

仮説がある報告

「売上が10%下がっています。主要因は既存顧客のリピート率低下で、新規は横ばいです。価格ではなく、利用頻度を上げる施策が必要だと考えています」

正解かどうかは問題ではありません。
この瞬間、仕事は“対話可能な状態”になります。

上司は、

  • その根拠は?
  • 他の可能性は?
  • じゃあ次は何を試す?

と、建設的な議論に入れる。

これだけで、「一緒に仕事ができる人」という評価が生まれます。


仮説は、間違っていてこそ価値がある

多くの人が仮説を持てない最大の理由は、「間違うことへの恐怖」です。

しかし、はっきり言います。

間違わない仮説に、ほとんど価値はありません。

仮説は外れて当たり前。
むしろ、外れるからこそ、

  • 何がズレていたのか
  • どこに盲点があったのか
  • 次はどう修正するか

という学習が生まれます。

仮説を持たない人は、間違えない代わりに、何も学びません

どちらが長期的に怖いかは、言うまでもないでしょう。


仮説思考こそが、コンサルタントの仕事の正体

ここで、コンサルタントという仕事を考えてみます。

コンサルタントは、最初から正解を知っているわけではありません。

むしろ、

  • 情報は断片的
  • 時間は限られている
  • クライアント自身も答えを持っていない

そんな状況から仕事が始まります。

だからこそ、まずやるのは常に一つ。

仮説を置くこと

仮説があるから調査の優先順位が決まり、仮説があるから議論が進み、仮説があるから短期間で成果が出る。

コンサル出身者が重宝される理由は、頭の良さではありません。

「仮説を持たずに動くことに、強烈な違和感を覚える身体感覚これが染み付いているからです。


若手へのメッセージ─最初は、浅くていい

もしあなたが、

  • 仮説を立てる自信がない
  • レベルが低いと思われそうで怖い

そう感じているなら、安心してください。

最初の仮説は、浅くて雑で的外れでいい。

大事なのは、

  • 自分はどう考えたか
  • なぜそう思ったか

を言語化することです。

これを繰り返す人は、半年後、確実に考える人になっています。


マネジメント層へのメッセージ─仮説は“才能”ではない

部下が仮説を持たないとき、それは怠慢ではなく、環境の問題であることが多くあります。

  • 仮説を出すと否定される
  • 間違いが許されない空気がある
  • 正解だけを求められてきた

こうした環境では、人は思考を止めます。

仮説を歓迎し、未熟な仮説を一緒に磨く文化こそが、組織の思考力を底上げします。


まとめ─仮説を持つとは、生き方を選ぶこと

仮説を持たないことは、

  • 仕事を作業に変え
  • 成長を止め
  • 評価を静かに下げる

という意味で、確かに致命的です。

一方で、仮説を持つとは、

  • 不完全なまま考え
  • 間違いながら学び
  • 主体的に仕事を引き受ける

という、生き方の選択でもあります。

仮説思考は、特別なスキルではありません。
仕事を「自分のもの」として生きる覚悟の表れです。

そして、その覚悟を最も強く求め、最も鍛えてくれる場所の一つが、コンサルティングという仕事なのです。

理想の転職を目指すなら

コンサル業界への転職やキャリアアップを目指す場合、エージェント選定も重要な要素の一つです。

未経験者のコンサル転職や、コンサル出身者の経営幹部転職特化など明確な強みがあり、選考対策からキャリア設計まで手厚いサポートがあるエージェントをおすすめしています。

現状に不満や将来に不安がある方は、先ずは以下サイトへの無料登録と無料相談から始めてみるなど、具体的な行動からキャリアプランを探してみてはいかがでしょうか。

ABOUT ME
kei_nakamura
kei_nakamura
経営コンサルタント
外資系コンサルティングファームで経営コンサルタントとして働く30代。 これから「コンサルタント」というキャリアそして人生を目指す学生、社会人に向けコンサルタントという世界で生き抜くための考え方やおすすめの書籍情報を執筆中。
記事URLをコピーしました