コンサルタントの考える「成長だけを追い求めない価値観・働き方」

近年、「成長＝善」という考え方が、ビジネス界でスタンダードな価値観として広がっています。

企業は社員に成長を求め、社員もまた成長を第一の目的としてキャリアプランを描きがちです。

特にコンサルティングファームやスタートアップなど、スピード感のある環境で働く人々にとって、「成長」や「それに伴う報酬」はキャリアの中心に置かれる傾向があります。

この価値観は確かに魅力的です。成長することで新しいスキルを身につけ、報酬が増え、責任あるポジションを得る。

これらはビジネスパーソンとしての充実感を大いに高めてくれるものです。

しかし、一方で「成長第一主義」だけに捉われることにはリスクや限界があることも事実です。

本記事では、まず「成長第一主義」のメリットと魅力を簡単に振り返り、その後、成長だけを追い求めない働き方や価値観について考察していきます。

それぞれのメリット・デメリットや、その価値観に向いている人物像も合わせて提示することで、多様な働き方の選択肢を示します。

成長第一主義のメリットと限界

メリット

スキルアップと市場価値の向上

成長を目指して新しいスキルや知識を学び続けることで、キャリアアップの機会が広がります。

市場価値が高まるため、転職や独立といった選択肢も増えます。

報酬の増加

成長に伴い、給与やボーナスといった金銭的報酬が上がる可能性が高まります。

達成感と自信

難しい目標を達成することで、自己効力感が得られ、さらなる挑戦への意欲が湧きます。

限界

燃え尽き症候群

絶え間ない成長要求は、ストレスや疲労を蓄積させ、最終的にモチベーションの低下や健康への悪影響を招くことがあります。

内面的な満足感の欠如

成長を目的化しすぎると、「本当に自分がやりたいこと」や「自分にとっての幸せ」が見えなくなることがあります。

競争による摩擦

成長を追い求める環境では、競争や評価へのプレッシャーが強まり、仕事において重要であり大きな要素を占める人間関係を毀損する場合もあります。

成長だけを追い求めない価値観と働き方

これまで挙げた内容により、「成長第一主義」を掲げず、別の判断軸によって人生やキャリアを選択する人も増えています。

それはつまり、キャリアの中で安定性を最優先し、大きな挑戦や変化を避ける働き方です。

1.安定型の価値観

メリット

• 長期的な心の安定や私生活の質が保たれる

• 予測可能なライフスタイルが構築できるため、家庭や趣味に時間を割きやすい

デメリット

• 大きな成長や報酬の増加が期待しにくい

• 環境変化に対する適応力が低下する可能性がある。

向いている人

家庭やプライベートを重視したい人。

キャリアや仕事上の大きな挑戦よりも日常の充実を求める人。

2.貢献志向の価値観

自分のキャリアを通じて他者や社会に貢献することを最優先に考える働き方です。

メリット

• 社会的な意義を感じながら働けるため、内面的な満足感が得られる。

• 人間関係が深まり、周囲との協力を通じた達成感を得やすい。

デメリット

• 報酬やキャリアアップのスピードが犠牲になることがある。

• 自分の成長よりも他者のために尽力する場面が多くなる。

向いている人

社会課題の解決に関心がある人。

他者との協力や助け合いを大切にする人。

3.自己実現志向の価値観

自分の内面的な満足ややりたいことを最優先に考える働き方です。

メリット

• ライフタイム全体における自分らしさを大切にできる。

• やりたいことに集中するため、高いモチベーションを保てる。

デメリット

• 時に収入やキャリアパスが不安定になる可能性がある。

• 他者からの理解が得られにくい場合もある。

向いている人

好きなことを仕事にしたい人。

独立志向が強い人。

4.ワークライフバランス重視の価値観

仕事とプライベートの両立を重視し、バランスの取れた生活を追求する働き方です。

メリット

• 健康的で充実した生活が送れる。

• 仕事以外の分野での成長や充実を得られる。

デメリット

• キャリアアップのスピードが遅くなる可能性がある。

• 仕事への深いコミットメントを求められる環境では不利になる場合がある。

向いている人

家庭や趣味を大切にしたい人。

オン・オフの切り替えを重視する人。

2.職人志向の価値観

特定の分野で専門性を磨き上げることに集中する働き方です。

メリット

• 深い専門知識や技術が身につく。

• 他者からの信頼を得やすく、自分の得意で勝負する場合成果を上げやすい。

デメリット

• キャリアの選択肢が狭まる可能性がある。

• 幅広いスキルを求められる場合には不向き。

向いている人

特定の分野でプロフェッショナルになりたい人。

一つのことを深く掘り下げるのが好きな人。

3. 結論：自分に合った価値観を見つけることが重要

働き方や価値観に正解はありません。

それぞれの選択肢にはメリットもデメリットも存在します。

重要なのは「自分がどのような人生を送りたいのか」「何を大切にしたいのか」をしっかりと考え言語化し、その答えに基づいてキャリアを設計することです。

「成長」や「報酬」だけに囚われるのではなく、自分に合った価値観や働き方を見つけることで、より充実したキャリアと人生を手に入れることができるでしょう。

今回ご紹介した中から、皆さんに合った働き方や生き方が見つかることを願っています。

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kei_nakamura

経営コンサルタント

外資系コンサルティングファームで経営コンサルタントとして働く30代。 これから「コンサルタント」というキャリアそして人生を目指す学生、社会人に向けコンサルタントという世界で生き抜くための考え方やおすすめの書籍情報を執筆中。