コンサルタントとしてどんな時でも「自分の意見」を持つことの重要性

プロジェクトを成功に導くために必要な「考える力」

コンサルタントという仕事には、日々新しい課題が降りかかります。

たとえば、ある日突然、未経験の業界に関する深い知見を求められることや、曖昧で漠然としたクライアントの悩みから本質的な問題を見つけ出す必要がある状況に直面することは珍しくありません。

そして、これらの課題には必ずしも明確な答えがあるわけではありません。

その中で、最も重要なのが「自分の頭で考える力」、すなわち「自分の意見を持つこと」です。

このスキルこそが、課題解決の出発点となり、結果としてプロジェクトの成功に大きな影響を与えます。

では、なぜ「自分の意見」を持つことがそれほど重要なのでしょうか？

以下で、その理由を詳しく解説していきます。

1. 問題の本質を見極める力を養う

コンサルティングの現場では、クライアントが提示する問題が必ずしも本質を突いているわけではありません。

例えば、「売上が低迷しているからマーケティング戦略を改善してほしい」と相談されるケースでは、実際の問題が商品そのものの競争力の低下や、顧客ニーズの変化にあることもあります。

こうした状況で、自分の意見を持つことは「問題の本質を見極める」ために欠かせません。

ただクライアントの言う通りに対応しても、根本的な解決には至りません。

具体例

あるB2C企業の案件で、クライアントは「SNS広告の予算を増やせば売上が伸びる」と考えていました。

しかし、データを分析し、自分の視点で仮説を立てた結果、実際の問題は「既存顧客のリピート率が低い」ことにあると判明しました。

SNS広告ではなく、既存顧客を対象としたロイヤリティプログラムの構築を提案したところ、売上が大幅に改善したのです。

2. 不確実性の高い状況に対応する指針となる

コンサルタントは、不確実性が高い状況に直面することが多いです。答えのない問いや、どの選択肢が最適なのか分からない状況で迷うこともあります。

その際に「自分の意見」を持っていることは、行動を決定する指針になります。

失敗を回避するための「問い」

例えば、納期が迫るプロジェクトで予算やリソースが限られている状況で、「どう進めれば最大限の成果が得られるか？」という問いに対して、自分の意見を持っていれば軸がぶれません。

一方で、意見を持たずにただ他者の指示を待つだけでは、行動が遅れるだけでなく、不適切な判断を下すリスクが高まります。

3. 協力を引き出すためのコミュニケーションに繋がる

コンサルタントの仕事は一人では完結しません。

クライアントやチームメンバーと連携し、共に目標に向かう必要があります。

その中で、自分の意見や考えを明確に伝えられることは、他者を巻き込み協力を引き出すために重要な役割を果たします。

具体例

例えば、プロジェクトの方向性についてチーム内で意見が分かれた場合、自分の考えをしっかりと論理的に伝えることで、他者の納得を得ることができます。

「この案が成功確率が高い理由」「これが目標達成に繋がる根拠」といった論理的な意見は、チームを説得し円滑にプロジェクトを進める助けになります。

4. 失敗を学びに変える力を持つ

自分の意見を持つことは、失敗を成長の糧にする力にも繋がります。

自分で考え抜いた上で選択した結果が失敗だった場合でも、「どこが間違っていたのか」「次はどうすべきか」を深く掘り下げることができます。

具体例

あるプロジェクトで、コンサルタントが市場調査に基づいて新商品の価格設定を提案しましたが、結果的に売れ行きが伸びませんでした。

しかし、自分の考えを振り返り、ターゲット層の購買行動についての仮説が甘かったと気づきました。

この経験を基に、以後の提案では仮説検証のプロセスを強化し、次のプロジェクトで成功を収めたのです。

5.他者に依存せず、自律的に働けるようになる

「自分の意見を持つ」という行為は、自分の頭で考え決断する力を養います。

この力は、他者に依存せずに自律的に働くための基盤となります。

チーム全体の成果を引き出す

例えば、リーダーが手取り足取り指示を出さなければ動けないメンバーよりも、自分の意見を持ち、リーダーに提案を持っていけるメンバーの方が、チーム全体のパフォーマンスを引き上げることができます。

まとめ: 自分の意見を持つことの本質とは

コンサルタントに限らず、どんな職業でも「自分の意見を持つ」ことは重要です。

それは、単なる自己主張ではなく、「課題を見つける」「解決の方向性を提示する」「周囲を巻き込む」「失敗を学びに変える」ための力を意味します。

特にコンサルタントは、答えのない課題に向き合う職業です。

その中で、自分の意見を持つことは、プロジェクトを成功に導くコンパスとなります。

次の仕事や課題に取り組む際、自分の頭で考え、行動を決定することを忘れずに進んでください。

それが、将来的に成功を掴むための第一歩となることと思います。

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kei_nakamura

経営コンサルタント

外資系コンサルティングファームで経営コンサルタントとして働く30代。 これから「コンサルタント」というキャリアそして人生を目指す学生、社会人に向けコンサルタントという世界で生き抜くための考え方やおすすめの書籍情報を執筆中。