コンサルタントに必要な資質

コンサルが虚業である理由とリアルな実態

tsumakawa

「コンサルって、結局何をしている人なの?」
「スライドを作って、偉そうなことを言っているだけじゃないの?」
「現場を知らない人間が口出しする、典型的な虚業でしょ」

こうした言葉を、一度も聞いたことがない人は少ないでしょう。
むしろ最近は、以前よりも強いトーンで語られるようになっています。

結論から言います。

「コンサルタント」という職業は、構造的に“虚業になりやすい”側面を持っています。
ただし同時に、やり方と覚悟次第で、極めて大きな価値を生む仕事にもなり得ます。

この両立が成立してしまう点にこそ、この職業の歪さと危うさ、そして可能性があります。

この記事では、

  • なぜコンサルは虚業と呼ばれやすいのか
  • なぜそれでも企業はコンサルを使い続けるのか
  • どこからが「価値」で、どこからが「虚業」なのか
  • これからの時代に残るコンサル、消えるコンサルの違い

について、できるだけ逃げずにリアルな視点から掘り下げます。


なぜ「コンサル=虚業」という評価がここまで広がったのか

まず、感情論ではなく構造の話として、コンサルが虚業と呼ばれやすいのは、個々人の能力以前に、仕事の設計そのものがそう見えやすいからです。

1. 成果と責任が切り離されすぎている

コンサルの最大の特徴は、「意思決定に関わるが、結果責任を直接負わない」という立ち位置です。

売上が上がったとき、それがコンサルの功績なのか、現場の努力なのかは曖昧です。

逆に失敗したときはどうか。

  • 戦略は正しかった
  • 分析は間違っていなかった
  • 実行が不十分だった

という説明が、いくらでも成立してしまう。

これはコンサル個人の問題ではなく、外部アドバイザーという立場が必然的に持つ構造的な逃げ道です。

現場の営業やエンジニア、工場長には、この逃げ道はありません。
数字が出なければ、即座に評価に返ってくる。

この非対称性が、「責任を取らない仕事」「結果を引き取らない仕事」という印象を強めています。


2. 「正しいが、誰でも言えること」を高値で売っているように見える

コンサルの提言は、多くの場合「正しい」と言えます

  • 顧客起点で考えるべき
  • データに基づいて判断すべき
  • 組織のスピードを上げるべき

ただし問題は、新規性の低さです。

現場の人間からすれば、「それは分かっている。でもできないから困っている」という話がほとんど。

そこに数千万、時には数億円の請求書が来る。

この瞬間、コンサルは「課題を解決する存在」ではなく、「分かっていることを敢えて言語化する存在」に見えます。

そして現場は思う。

「その金で人を増やせ」
「その金でシステムを直せ」

この感覚は、コンサル側からすると厳しい意見である反面、一定の正しさを孕んでいます。


3. コンサルの大量生産が、平均値を破壊した

もう一つ、避けて通れない話があります。

コンサルは、増えすぎました

かつては、

  • ごく一部のエリート
  • 極端に鍛えられた人材
  • 希少性の高い存在

だったコンサルは、今や大量採用の対象です。

未経験で入り、2〜3年で「コンサルタント」を名乗る。

結果どうなるか。

  • 思考力
  • 現場理解
  • 人を動かす力

上記が十分に育つ前に、「助言する側」に回ってしまう人が大量に生まれる。

当然、虚業っぽさが前面に出る。

これは個人の責任というより、業界全体が選んだ成長戦略の副作用です。


それでもコンサルが消えない、極めて現実的な理由

ここまで読めば、「やはり虚業では?」と思うでしょう。
ただ、それでもコンサルは消えません。

それはなぜなのか。

1. 組織は「正しい決断」ほど自分たちで下せない

企業がコンサルを使う最大の理由は、これです。

  • 正しいと分かっている
  • でも利害関係が複雑
  • 内部の人間が言うと角が立つ

このとき、コンサルは「意思決定を代行する装置」になります。

  • 上層部に決断させるため
  • 社内政治を突破するため
  • 変革に外部の正当性を与えるため

これは現場の優秀な社員には、ほぼ不可能な役割です。

この機能自体は、虚業ではありません。
ただし、極めて不人気で、感謝されにくい仕事です。


2. 思考を「構造」に落とせる人は、本当に少ない

賢い人は多い。
経験豊富な人も多い。

しかし、

  • 問題を分解し
  • 因果関係を整理し
  • 優先順位をつけ
  • 実行可能な形に落とす

ここまで一気通貫でできる人は、驚くほど少ない。

優秀なコンサルの価値は、知識ではなく思考の解像度にあります。

混乱した状況を、「何が問題で、何をやれば前に進むのか」に変換する。

このレベルに達している人は、間違いなく虚業ではありません。


虚業かどうかを分ける、決定的な境界線

ここまで読んでいただいた通り、「コンサルタントが虚業かどうか」を決めるのは、職業ではありません。
決定的な境界線は、その人の“姿勢”です。

これは耳触りのいい精神論ではなく、仕事の構造としてほぼ例外なく当てはまる話です。


虚業化する瞬間は、驚くほど分かりやすい

コンサルに限らず、仕事が虚業になる瞬間には共通点があります。

  • 自分は実行しない
  • 失敗の責任は取らない
  • 成功したら、自分の手柄として語る

このスタンスを取った瞬間、どんなに高度な知識を持っていようが、どんなに立派な肩書きがあろうが、その仕事は一気に「虚業」になります。

これはコンサル特有の話ではありません。

  • 戦略だけ語って現場を見ない経営企画
  • 決裁はするが、結果には責任を持たない管理職
  • 後講釈だけで現場を消耗させる評論家

すべて同じ構造です。

「自分の言葉が、現実にどう作用したか」から距離を取った瞬間、価値を創出する仕事とは呼べなくなります。

これが、虚業の正体です。


逆側に立つと、仕事は一気に重くなる

一方で、次のラインを越えた瞬間、その仕事は虚業ではなくなります。

  • 自分の提言によって、人が傷つく可能性を引き受ける
  • 現場で起きた失敗を「想定外」で切り捨てない
  • 結果が出るまで、途中で逃げない

ここまでやるなら、コンサルという仕事は極めて重たい職業になります。

なぜなら、これはもう「助言」ではないからです。

  • 人の人生に影響を与え
  • 組織の方向性を変え
  • 成功しても失敗しても、名前が残る

安全圏から降りた瞬間、コンサルは“当事者”になります。


なぜ多くのコンサルは「虚業」に見えるのか

ここで一つ、かなり不都合な真実があります。

多くのコンサルが虚業に見える理由は、能力不足ではなく「安全圏から出ない選択」をしているからです。

  • 実行はクライアント任せ
  • 現場の泥は踏まない
  • 判断の責任は持たない

この立ち位置にいれば、確かにリスクは最小化できます。

ただし同時に、価値も最小化されます。

その結果、外から見るとこう映る。

「それっぽいことを言っているだけ」
「結局、何も背負っていない」

これは、かなり正確な批判です。


AI時代に、コンサルはどうなるのか

これからの時代、考えるだけ」「整理するだけ」のコンサルは、ほぼ確実に不要になります。

理由はシンプルです。

  • 分析
  • 仮説出し
  • フレームワーク適用
  • スライド作成

これらはすでに、AIによって“平均点”が一気に引き上げられている領域だからです。

「表面的な頭の良さ」や「処理能力」だけを売りにするコンサルは、これから急速にコモディティ化します。

では、何が残るのか。


AIに代替できない、コンサルの最後の仕事

残るのは、きれいな世界ではありません。

  • 利害が真っ向から衝突する人間同士を調整する力
  • 正論では割り切れない感情を引き受ける力
  • 修羅場で逃げずに立ち続ける胆力

つまり、人間臭さの塊のような仕事です。

AIは、「どの選択肢が合理的か」は教えてくれます。

でも、

  • 誰を切るのか
  • 誰を守るのか
  • どの痛みを引き受けるのか

この問いに、代わりに答えてはくれません。

ここに踏み込めないコンサルは、今後ますます「虚業」に近づいていきます。


結論:この問いが本当に問うているもの

「コンサルタントは虚業か?」

この問いは、実はコンサルだけに向けられたものではありません。

あなた自身に、こう問い返しています。

  • あなたは安全な場所から正論を言っていないか
  • 自分の言葉の結果を、引き受ける覚悟があるか
  • 都合が悪くなったとき、当事者でい続けられるか

コンサルは、虚業になりやすい構造を持っています。

しかし同時に、本気で当事者になれば、極めて価値の高い仕事にもなり得る。

だからこそ、見るべきなのは肩書きではありません。

その人が、どこまで当事者でいようとしているか

それが分かれば、コンサルは虚業でも救世主でもなく、「共に事業を創る伴走者」になります。

そしてこの視点を持てるかどうかで、

  • あなたがコンサルを見る目
  • あなた自身の仕事の質

その両方が確実に変わります。

この問いを、他人事で終わらせない人だけが、今後変わりゆく業界の中で「虚業ではない側」に立ち続けられるのだと思います。

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経営コンサルタント
外資系コンサルティングファームで経営コンサルタントとして働く30代。 これから「コンサルタント」というキャリアそして人生を目指す学生、社会人に向けコンサルタントという世界で生き抜くための考え方やおすすめの書籍情報を執筆中。
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